5月12日(来週の火曜日)、第15回本格ミステリ大賞の公開開票式が行われます。各部門のノミネート作品は次のとおり(敬称略)。
【小説部門】
『黒龍荘の惨劇』岡田秀文
『さよなら神様』麻耶雄嵩
『冷たい太陽』鯨統一郎
『フライプレイ!』霞流一
『僕の光輝く世界』山本弘
【評論・研究部門】
『アガサ・クリスティー完全攻略』霜月蒼
『大癋見警部の事件簿』深水黎一郎
「情報化するミステリと映像」 渡邉大輔
「ループものミステリと、後期クイーン的問題の所在について」小森健太朗
『路地裏の迷宮踏査』杉江松恋
ノミネートされた皆様、おめでとうございます。そしてノミネート作品を選んだ予選委員の方々、お疲れ様でした。結果は本格ミステリ作家クラブのTwitterアカウントでツイートされるそうです。
大賞は、本格ミステリ作家クラブの会員が各部門の作品をすべて読んだ上で投票(どちらか一部門だけの投票でも可)、公開開票式で最も票が集まった作品が大賞に決まる……という流れです。既に投票期間は締め切られており、天祢涼も投票を済ませました。どの作品に投票したかは、来月発売の『ジャーロ』にコメントと一緒に掲載されるので、そちらをご覧ください。
さて、ご存じの方も多いでしょうが、本格ミステリ大賞は予選委員がノミネート作を選ぶ前に、会員が推薦作を三作あげることができるのです。予選委員はそれも踏まえて、ノミネート作を絞り込むという方式。
もう投票期間も終わったので、天祢涼が推薦作として小説部門に送った作品3作をご紹介します(敬称略)。
『さよなら神様』麻耶雄嵩
「2015本格ミステリ・ベスト10」第一位に輝いた、説明不要の傑作連作短編。一行目でいきなり神様が犯人を教えてくださる親切設定。でも展開は全然親切じゃない(笑)。移動中に電車の中で一気読みしました。
『大癋見警部の事件簿』深水黎一郎
ミステリの枠組みを使ってここまで遊んでしまう小説はなかなかない。ミステリ好き以外にはきついかもしれないけど、逆に言えばミステリ好きなら必読。芸術探偵のカメオ出演(?)もうれしい。なぜか「評論・研究部門」にノミネートされておりますが、小説として充分おもしろい作品です。
『人間の顔は食べづらい』白井智之
ウイルスのせいで肉が食えなくなったけど、自分のクローンの肉だったら食べてOK!な異世界を舞台にした、設定からしてぶっ飛んでるミステリ。正直、細かな点で気になることはあります。でも、そんなのどうでもいいくらい、二転三転する推理がおもしろかった。天祢涼は減点法ではなく加点法で小説を読むので(書き方もそうなので俺の小説において細かいことは気にするな)、この作品には本当に楽しませてもらいました。
こんな感じで。一度でいいから自分の作品3作を推薦してみたいなあ……それには年間3作新刊を出さないといけないわけですが(^_^;)
天祢 涼(あまね りょう)