『銀髪少女は音を視る ニュクス事件ファイル』(『ニュクス』)のヒロイン・音宮美夜は、銀髪ロン毛で華奢という設定です。これは『キョウカンカク』と基本的には同じです。
が、描写や言動は少々変わっているかもしれません。
これは文章力が上がったからでも、小説に対する考え方が変わったからでもありません。もちろん、そういう要因もないわけではないでしょうが、最も大きいのは天祢涼のPhotoshopの使い方がうまくなったことです。
Photoshopとは?
Photoshopとは、Adobe社がつくっている、プロご用達の写真編集ソフト。使ったことがなくても、名前くらいは聞いたことがある人もいると思います。
天祢涼は小説を書くとき、Google画像検索で見つけた俳優さんや女優さん、検索キーワードでヒットした人物の写真をダウンロードし、Photoshopで加工してキャラクターのイメージを固めています(私的使用なので絶対に表には出せません)。
「マンガじゃないんだから」と言われたこともありますが、実際にキャラクターの顔や動作をイメージしながら書いた方が書きやすいのだから仕方がない。こういう書き方をするようになったのは、3作目か4作目くらいから。デビュー作『キョウカンカク』のときは、こういう書き方をしていませんでした。
その後、『キョウカンカク』の文庫化が決まったときは「どうせだったらノベルス版とは美夜のイメージも一新しよう」と、ある女優さんの写真を拝借することに。が、ここで問題が発生しました。
髪の毛を銀髪にする方法がわからん
Photoshopはなんでもできる反面、素人には扱いが難しく、思いどおりの画像をつくれないことがあるのです。自分の場合も、髪の毛だけを銀色にすることがどうしてもできませんでした。いろいろ試してみましたが、どうしてもできない。髪だけじゃなくて、肌の色も変わってしまう。←初心者にありがちな失敗
そのため、文庫版執筆時、音宮美夜は文章では「銀髪」と書きながら、著者の頭の中では黒髪……というねじれ状態になっていました。
銀髪にする方法がわかった!
『ニュクス』は、『キョウカンカク』とは別シリーズという位置づけなので、文庫版でいただいた表紙イラストのイメージをそのまま流用はできない。執筆時は、また例の女優さんの別の写真(もちろん黒髪)をもとに、脳内で動かそうと思っていました。
が、不意に「小難しいことしなくても『色の置き換え』で髪の毛の色を選択。その色だけ銀にすればいいんじゃない?」と気づき、試してみたところ、あっさり銀色に。こんな簡単にできるとは……なんで文庫版のときに気づかなかったんだろう(笑)。
というわけで『ニュクス』の音宮美夜は、晴れて天祢涼の脳内で銀髪になりました。脳内のこの微妙な差が、本文では結構な差になっている……気がします。書いている本人にしかわからないのかもしれませんが、「脳内で黒髪だったら、ここはこう書けなかったな」という箇所がいくつかあるのです(具体的にどこかは書きませんが、その辺も想像しながら読んでいただけるとうれしい)。
イラストをいただいてからはそっちにイメージ変更
以上、小説とは直接の関係がないところで紆余曲折していたわけですが、PALOWさんに表紙イラストをいただいてからは、そっちが音宮美夜のイメージになりました。
またイメージ変更か? と言いたいところですが、PALOWさんは本文中の美夜のイメージを上手に膨らませてくれたので、『ニュクス』シリーズ内でイメージがブレることはなさそうです。というより、美夜のイメージはイラストにしたらこんな感じ。ぴったりです!
すばらしいイラストをいただき、ありがとうございました( ̄^ ̄)ゞ
『銀髪少女は音を視る ニュクス事件ファイル』は3月17日ころ発売です。詳細は講談社タイガの公式サイトをご覧ください。
by 天祢涼(あまね りょう)