実業之日本社さんから『ジェイ・ノベル』2017年3月号をいただきました。今月号の特集は『球春到来! 「野球」を読む』。野球をテーマにした小説がずらりと並んでおります。広島カープファンの東川篤哉さんの作品名は「カープレッドよりも真っ赤な嘘」。タイトルからして、ものすごくおもしろそう。
さて、『ジェイ・ノベル』と直接の関係はないのですが、こと野球に関して、天祢涼は中日ファンの出版業界関係者にジェラシーを募らせております。
「近所の河原」と「ナゴヤドーム」
これは以前も書いたことですが。
『本格ミステリー・ワールド2014』で、深水黎一郎さんと対談させてもらいました。それとは別にお互いの単独インタビューとブロマイド的な写真も掲載してもらったのですが、問題は撮影場所。
編集さんから「天祢さんはどこか思い入れのある場所はありますか?」と訊かれたものの特になかったので、お世話になっているケーキのおいしい喫茶店で取材を受けた後、近所の河原に移動。写真を撮ってもらいました。そのとき、実はピロリ菌除去薬を服薬中で全身が痛かったのは、また別の話。
そのとき、「深水さんはどこで撮影するんですか?」となにげなく訊いてみたら、返ってきた答えが「ナゴヤドームです」。
は? ナゴヤドーム? なんで?
「深水さんが中日ファンなので。撮影のために球場を貸し切りにしました」
……ええ、思い入れのある場所を訊かれても「特にない」と答えた自分の責任ですよ。編集さんも深水さんも、なにも悪くありませんよ。
でも、近所の河原とナゴヤドームって、撮影場所に格差がありすぎる。
できあがった雑誌を見ると、深水さんのページには、ナゴヤドームのマウンドからボールを投げる写真が掲載されていました。おまけにピッチングフォームの連続写真まで。もはや『週刊ベースボール』。くっ……中日ファンだとこんないいことがあるのか!←違う
中日ファンはとまらない!?
中日ファンとの圧倒的な差を見せつけられたものの、その傷がようやく癒えた昨年、予期せぬ新展開が起こりました。
なんと深水さんたち中日ファンの作家さんたちが集結して、『ナゴヤドームで待ち合わせ』というアンソロジーが刊行されたのです。
2016年、球団結成80周年を迎える中日ドラゴンズ。メモリアルイヤーを祝って、ドラゴンズ愛に溢れる豪華作家陣が熱く描く、「中日ドラゴンズ」をテーマにしたオリジナル小説アンソロジー。名選手の引退と自身の進退を重ねる菓子職人に、ママさん達で結成したチアリーディングチーム……。バラエティ豊かな小説が詰まった野球ファン必読の一冊。
(内容紹介より)
くっ……中日ファンだとアンソロジーの仕事まで来るのか!←だから違う
かくも中日ファンへの嫉妬を募らせていたため、昨年、中日ファンの書評家・大矢博子さんにお会いしたときは「いやー、うちは今年CSに行きましてねー、はっはっはっ」と初対面にもかかわらず、ミステリそっちのけで野球の話をしてしまいました。
ここでいう「うち」とは横浜ベイスターズのこと。そう、天祢涼は横浜ファンなのです。ただし、「あまりにも弱いから応援していた」というぬるいファン。だって、地元のtvk(テレビ神奈川)で試合を見る度にボロ負けしていたんですよ。近所のできない子を見守るような気分にもなりますよ。なにしろ5年連続最下位を記録したこともありますからね!
快進撃の去年も、CSに行けるか最後の最後までハラハラしておりました。
そんなわけで、実業之日本社さま。来年、「ぬるい球春到来!」特集を組むのなら、ぜひお声がけください。お待ちしております!
by 天祢涼(あまね りょう)