今年出すもの、出したいものに関する記事第2弾。セシューズ・ハイ文庫版に続いては、『探偵ファミリーズ』です。
本作は2016年、『ジェイ・ノベル』(実業之日本社)で連載していた連作短編。『ジェイ・ノベル』が刊行される度に、このブログでも記事にしていました。
実家を飛びだした訳ありの女・伴リオ。彼女が入居を希望したシェアハウス「チロリアンハウス」は、信じられないほど家賃が安い。その代わりに大家の大家さんが出した条件は、レンタル家族を手伝うこと。なにかにつけて「社会貢献です!」と口にする大家さんのもと、リオの受難の日々が始まった!
本作の担当さんは、『議員探偵・漆原翔太郎』(単行本版)を読んで依頼をくれました(特に第三話「選挙」のトリックをほめてくれた)。
依頼時に言われたのが「おバカなノリの作品をお願いします!」。これを受けた天祢涼は、徹頭徹尾その路線を貫いて書きました。全6話なのですが、トリックは「この作品世界でないとできない!」というノリのオンパレード。毎回、家族絡みの事件が起こることだけを縛りにしました。「基本的に悪人は出さない」をコンセプトにしていたこともあって、書いてて楽しくもありました。終わったときはさみしかったなあ。
ちょっと後悔しているのが、主人公・リオの扱い。
リオは「ある設定」を背負っているため、ものすごい美女でないと話の辻褄が合いません。連載時、イラスト担当の竹中さんからいただく絵でも、リオちゃんはかわいかったです。が、いかんせん、大家さんをはじめ奇人変人しか出てこないため、誰もリオの容姿に見向きもしない。結果、「美女のはずなのに美女扱いされない」という不憫な子になってしまいました。
……でも、リオも途中から作者の手を離れて活き活きと動いてくれたから、本人は気にしてないのかな(笑)。
既に連載時の原稿の加筆修正は終えています。タイトルが『探偵ファミリーズ』で行くのかどうかも決まっていないのですが、今年後半、実業之日本社文庫で発売予定。天祢涼にとって11作目の本になります。
肩の力を抜いて読めるけどミステリ度は意外と高めです。続報をお待ちくださいm(_ _)m
by 天祢涼(あまね りょう)