『探偵ファミリーズ』

カバーイラスト:竹中
カバーデザイン:AFTERGLOW
発売日:2017年8月4日
定価:648円(税別)
出版社:実業之日本社

 

 

カワイイあのコは、妹?姉?それとも…探偵?

このシェアハウスに集まる家族は全員、探偵!

格安家賃のシェアハウスに住むことになった元・美少女子役の五月女(そうとめ)リオは見返りとして大家の営む「レンタル家族業」を手伝うことに! リオが演じてみせるのは、人気漫画家の妹役からワケあり老人の息子役まで様々。一筋縄ではいかない依頼と次第に増える「家族」たちが、思いもよらない事件を呼び込む!?

結末までイッキ読み、笑いと衝撃の本格ミステリ。

天祢涼11作目。『ジェイ・ノベル』の連載をまとめた連作短編集です。帯がつくとこうなります。

色がかわいい\(^◇^)/

一言で言うと、「格安家賃につられてシェアハウスに入居したヒロインが毎回エラい目に遭うコメディ」。でも依頼時に言われたのが「おバカだけど本格ミステリでお願いします!」だったので、ミステリ度はかなり高め。全6話ですが、いろんなタイプのひっくり返しをそろえました。

以下、裏話。

シェアハウスの名前

リオが入居するシェアハウスの名前は「チロリアンハウス」。これは天祢涼が昔住んでいた場所の近く(でもないけど)にあったアパートの名前です。ヨーロッパの古い街にでもありそうな不思議な雰囲気の建物で、前を通る度に気になっていたのですが、残念ながら老朽化に伴い取り壊しされることに。さみしかったので、「劇中で名前を拝借しよう」と思った次第です。

ちなみに『ジェイ・ノベル』に第一話(前半)が掲載された後で見に行ったら、完全に施錠されていました。連載終了後見に行ったら超近代的なマンションが建っていてびっくり。

大家の性格

チロリアンハウスの大家の名前は「大家」。「大家の大家」ということで、これはプロット段階から決めていました。

が、性格に関しては難航。

当初は「イケメン俺サマ大家」にするつもりで、リオを顎で使っていました。これで第一話を書き上げたのですが、どうもしっくりこない。友人が「うちの大家が偉そうでむかつく」と言っていたのを思い出したこともあり、「やっぱり賃貸住宅の大家さんはいい人じゃないと!」と全面改稿。現状の「得体は知れないけど愉快な人」になりました。

……愉快な人でも「リオを顎で使っている」ことに変わりはないけど(笑)。

キャラクターの名前

大家とリオ以外のキャラクターは、一部を除いて横浜ベイスターズの選手縛りにする予定でした。だから第一話は梶谷、第二話は筒香が登場します。

が、第三話でよくある名字のキャラクターを出す必要があり、それを「鈴木」にした瞬間、ベイスターズ縛りのことを失念。そのまま最終話まで書き上げてしまいました。

ベイスターズ縛りのことは、編集部の人から「ベイスターズファンなんですか?」と訊かれて思い出した(^_^;)

ラストシーン

当初、ラストは全然違うものになる予定でした。何パターンか書いたのですが、どれもしっくり来ず、最終的にあの形に。これは、連載中にいただいた竹中さんのイラストから派生したアイデアです。

つまり竹中さんのイラストがなければあのラストはなかったわけで、こういうのは連載のおもしろさだと思います。

フリーペーパー

編集部から依頼を受けてフリーペーパーを作成しました! ありがたいことに200部刷ってくれて、そのすべてにサインを入れて一部書店さんで配布中!!

天祢涼がこれまで趣味でつくってきたフリーペーパーを見て、「依頼しよう」という話になった模様。よかった、Macいじりが好きなオタクでデザインに興味があって。

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なんかほかにも書きたいことがあった気がするけど、とりあえずこの辺で(思い出したら追記します)。

今回は「悪人は出さない」をモットーにしたこともあってか、最後まで楽しく、気持ちよく書くことができました。

上記ツイートのとおり、おバカなノリで本格ミステリで、意外にも(?)ちょっと切なかったりもします。楽しんでいただければ幸いですm(_ _)m

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ABOUT US
天祢 涼
あまね りょう
第43回メフィスト賞を受賞してデビューしたミステリー作家です。代表作は次回作。読んだ人の胸を抉るようなミステリー、胸きゅんラブコメなミステリーを世に送るべく日夜模索中。このブログでは仕事情報のほか、MacやiPhoneのネタ、猫写真などをアップしております。