『リーマン、教祖に挑む』

カバーイラスト:丹地陽子
カバーデザイン:坂野公一(welle design)
発売日:2017年9月14日
定価:685円(税別)
出版社:双葉社

 

 

寂れた団地で急速に広がる新宗教〈ゆかり〉。大企業スザクのエリートである六三志は、自社の顧客を守るため、教団潰しを命じられた。ところが若き教祖・禅祐は、宗教を使って金儲けをたくらむ頭脳派で、六三志の告発をかわす。教団の発展か滅亡か――住民の支持を得るのはどちらか、激しい心理戦が始まった!

文庫化5作目。2014年7月に上梓した『もう教祖しかない!』から改題しました。改題や表紙の方針は担当さんにお任せ……していたのですが、土壇場でいろいろ無理を申してイラストご担当の丹地さんのお手を煩わせる結果に。ご迷惑をおかけしましたが、すてきな表紙に仕上げていただき心より感謝ですm(_ _)m

帯がつくとこうなります。

これを連載していた2013年ころから格差や貧困など、いわゆる社会問題に興味が出てきて、自作の中に盛り込むようになりました。当時は渾身の力を込めて書いたのですが、いま読み返すと、ちょっと片肘張りすぎな感がありますね。「いまならこうは書かないなあ」と4年前の自分に微苦笑しながらゲラを読んでおりました(^_^;)

『キョウカンカク』を文庫化したときのように全面的に書き直すことも考えたのですが、決してクオリティーが低いわけではないし、「これはこのときにしか書けなかった小説だ」という思いもあるので、ほぼそのままで刊行。ただ、一点、単行本のとき「意味がわからない」という感想が多かったある設定に関しては大幅に変更しています。興味のある人は単行本版と較べてみてくださいm(_ _)m

解説は大矢博子さん。中日ファンの大矢さんと横浜ファンの天祢涼は「横浜中日戦争」をしている間柄ですが、そういうことは抜きにして、すばらしい解説をいただきました。読み応えがある上に、おもしろい解説でありがたかった。

帯には千街晶之さんのコメントもいただいております。大矢、千街両氏の名前が載っているとは! なんて贅沢な本だ……。

なお、本作とは違う方向性で貧困問題をテーマに書いたのが『希望が死んだ夜に』になります。一見、全然違う両作ですが、書いている本人としては共通するものがあるのです。偶然とはいえ、この2作が2日連続で刊行されるのは感慨深い。

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天祢 涼
あまね りょう
第43回メフィスト賞を受賞してデビューしたミステリー作家です。代表作は次回作。読んだ人の胸を抉るようなミステリー、胸きゅんラブコメなミステリーを世に送るべく日夜模索中。このブログでは仕事情報のほか、MacやiPhoneのネタ、猫写真などをアップしております。