基本、表紙は担当さんにお任せしているミステリ作家・天祢涼です。方針をしっかり伝えていただければ、こちらからは意見を言わないようにすることが多いです(例外もあります)。
では『希望が死んだ夜に』の場合はどうだったかというと……ほぼお任せでした。
担当さんから「こういう方向でやらせてほしい」と写真家・青山裕企さんの作品を見せられたときは、正直、驚きました。これまでの自分の小説は、イラスト率が高かったですからね。今回も、そういう路線かなと思っていたのです。
それだけに、青山さんが撮影なさった、ちょっと不思議な雰囲気の少女たちの写真を見せられ大興奮。
ちなみに『希望が死んだ夜に』は刑事二人のパートもあるので、そちらをメインに据えるのもありか? と個人的には思ってましたが、やはりこれは14歳の少女・冬野ネガの話。刑事の姿は表紙に影も形もありません。
担当さんとデザイナーさんが相当数の候補をあげて、どの写真にするかじっくり考えてくれました。どれも美麗な写真ばかりだったのですが、いろいろな要素を考えた結果、現行版に決定。謎めいた雰囲気が漂っていてよいですよね。これまでの自分の本とは、また違った魅力のある表紙に仕上げていただきました。
『希望が死んだ夜に』は文藝春秋より9月13日ころ発売です。
神奈川県川崎市で、14歳の女子中学生の冬野ネガが、同級生の春日井のぞみを殺害した容疑で逮捕された。少女は犯行を認めたものの、「あんたたちにはわかんない」と動機は全く語らない。なぜ、美少女ののぞみは殺されたのか。二人の刑事が捜査を開始すると、意外な事実が浮かび上がってくる。
「キョウカンカク」でメフィスト賞を受賞し、『葬式組曲』が本格ミステリ大賞候補や日本推理作家協会賞(短編部門)候補となった著者による、社会派青春ミステリ。
(文藝春秋のサイトより)