読み終わった後に「そういうことだったのか!」と意味がわかるタイトルが好きなミステリ作家・天祢涼です。ネタバレになるから具体的な名前はあげませんが、あの作品中盤で敵役が口にする人間の定義、この作品終盤で主人公がライバルに呼びかけれる言葉にはグッときました。
当然、自分の小説にもそういうタイトルをつけたいところですが、これが意外と難しい。
売れるためには、まず読者さんに興味を持ってもらわないといけないわけで、「読み終わった後に意味がわかる」ではなく、「読む前から意味がわかる」タイトルにしなくてはいけない。両立できればよいのでしょうが、そんないいタイトルは簡単には思いつかない(^_^;)
かくして毎回、タイトルを決めるのには時間がかかります。タイトルを考えること自体は好きなのですが、ぎりぎりまで決まらないこともあり。決まったと思ったら二転三転することもしばしば。
『リーマン、教祖に挑む』(双葉文庫)は、連載時のタイトルは『ザ・宗教カンパニー』、単行本版のタイトルは『もう教祖しかない!』でした。これは二転三転の典型例。文庫版の解説では、書評家の大矢博子さんが「ころころタイトルが変わって紛らわしいわ」という意味のことを大人の言葉で書いてくださっております。
とまあ、タイトルに関しては毎回難儀しているのですが、『希望が死んだ夜に』は例外。プロット段階からこれを仮タイトルとしてあげていて、そのまま正式決定しました。自分にとって初めての経験です。
原稿が完成に近づいてきたとき、「このタイトルでいいんですかね?」と担当さんに確認したのですが、「内容に合ったいいタイトルだと思います」と言ってもらいました。これも初めての経験。実は「ほかのタイトルを考えてください」と言われたら「嫌だ!」と拒否するつもりだったのですが(笑)。
「この小説にはこれしか考えられない!」というくらい内容にマッチした『希望が死んだ夜に』は文藝春秋から9月13日ころ発売です。
希望の「希」という漢字が「ねが(う)」と読むことから名づけられた、ネガ。現在は、母親の映子と川崎市登戸のボロアパートに暮らしている。
母はあまり働かなくなり、生活保護も断られた。まわりに頼れる大人や友人がいないネガだったが、あるとき、運命的な出会いをした……。「キョウカンカク」でメフィスト賞を受賞し、『葬式組曲』が本格ミステリ大賞候補や日本推理作家協会賞(短編部門)候補となった著者による、社会派青春ミステリ。