『希望が死んだ夜に』は、いろいろ思うところがあって、売上の話を公にすることはできるだけ控えてきました(せいぜい完売情報を書くくらい)。
が、発売から1年半近く経っても新規で展開してくださる書店さんがあったり、読んだ人から感想をいただいたりしています。「重版はかからないんですか?」と訊かれることも増えてきました。
こうした状況を踏まえ、売上について全然語らないことは不誠実であると判断、ブログに書くことにしました。以下は、版元から言われたわけではなく、推測や感触も交じっています。それも踏まえてお読みください。
結論から書くと、一般的な事例と照らし合わせた場合、重版の可能性はほとんどありません。
『希望が死んだ夜に』は、発売後、現在は閉店してしまった若草書店の店長さんが推してくれました。
こちらの店長さんは何年も前から天祢涼を応援してくださっていて、『希望が死んだ夜に』の応援も非常にありがたく思いました。同じく閉店してしまったブックメイツ新百合ヶ丘店にはサイン本を置いていただき、感激でした。
ただ、天祢涼の力不足もあり、応援いただいてもなかなか大きな動きにはならず。発売後の売上は、初速こそよかったものの今一つでした。
『希望が死んだ夜に』について、時折、「なんで本屋大賞の候補にならなかったのかわからない」「どうしてミステリーランキングに入らなかったのか」という声をいただきますが、一言で言えば「売れなくて、あまり知られなかったから」。正直に書くと、読んでくれた人の評価がこれまで上梓した本の中で群を抜いて高かっただけに、自分の力不足に忸怩たる思いでした。
それがすべてとは言いませんが、プロ作家である以上、売上や賞レースで結果を残すことは重要な指標なのです。
『希望が死んだ夜に』が「書店員さんに口コミで広がっているかも」と思ったきっかけは、発売から半年ほど経ち、丸善さんで展開いただいていることを知ってから。
これを皮切りに、うさぎや矢板店さんで展開いただいたり、TSUTAYA向ヶ丘遊園店さんの店頭に置いていただいたりと、少しずつ書店さんに広がっていきました。ブックポート中野島店さんに、日本で初めて「天祢涼コーナー」をつくっていただいたのも、この頃。これは、文藝春秋の担当さんはもちろん、ジャスティスマン氏など関係各位のご協力があってのこと。心より御礼申し上げます。
そして2018年9月には、八重洲ブックセンターさんの文芸書ランキングで8位、10月には東京新聞の書評に取り上げていただいて一時期在庫消失……と、セールスも伴うようになってきました。現在も、たくさんの書店さんで展開いただいております。
が、時既に遅し。
一般的には、発売一年以上経った単行本は重版がかからないことが多いようです。そういう本は「文庫で勝負しましょう」という話になるようですが、現状、『希望が死んだ夜に』に文庫化のオファーはありません。誤解のないように書いておくと、まだ発売一年半しか経っていないので文庫化の話がないのは普通のこと。決して「今後も文庫になることはない」というわけではありません。
長々と書きましたが、要は「発売から話題になるまで時間がかかったので、普通に考えたら重版はない」ということです。
……ところで。
さっきから、ところどころ文字が赤くなっていることに気づいたでしょうか? 赤で表記した文字は、あくまで一般論。ここまでの話は、すべて「常識的に考えれば」ということ。
そんなもん、いくらでも覆してやるわ!
なにしろ天祢涼は、『キン肉マン』『ドラゴンボール』という、主人公が最後に逆転勝ちする漫画が大好きですから。作家としても逆転勝ちしてやりますよ!
これだけたくさんの人に応援いただいているのに「文庫でがんばります」なんて言ったら、恩知らずにもほどがあるし、まだ全然あきらめておりません。賞を取ったわけでも、ミステリーランキングの上位に入ったわけでもない本が口コミだけで1年以上経ってからベストセラーになったら胸熱ですしね。
というわけで、今後も折りを見て感想をリツイートしたり、ご希望の書店さんに豆色紙やフリーペーパーを配布していくつもり。応援のほど、よろしくお願いします!