原作:TYPE-MOON
カバー装画:しまどりる
カバーデザイン:Veia
フォントディレクション:紺野慎一
発売日:2020年2月14日
定価:1500円(税別)
出版社:星海社
FGOミステリー小説アンソロジー カルデアの事件簿 file.01
本格ミステリー界から召喚された一騎当千、万夫不当の小説家たちが、精巧かつ大胆な論理の剣戟をFGOの世界に炸裂させる! カルデアが遭遇した未知なる謎解きを紡ぐ、『Fate/Grand Order』初の小説アンソロジー「カルデアの事件簿」が開幕!
一昨年から続いたアンソロジーのお仕事の最後となる一作(今後しばらくアンソロのお仕事はありません)。帯がつくとこうなります。
「小説家」に「エクストラクラス」とルビを振るセンスがいろいろすげえ(笑)。
依頼のきっかけ
そもそもの始まりは、天祢涼が星海社の担当さんと話していたときのこと。
なにかの話の弾みで、「『Fate』の遠坂凛がかわいい。超かわいい」と天祢涼が自分のプロットをそっちのけで熱弁を振るったのがきっかけでした。
すると後日、「そんなに好きなら『FGOミステリー』書いてみます?」と依頼が来たのです。
遠坂凛への愛を語ったらイシュタルとエレシュキガルを書くチャンスが舞い込んできた……これは受けない手はない! というわけで、即座に引き受けました。FGOもプレイしていたしね(個人的には第二部のクリプターのみなさんが好きです)。
イシュタルとエレシュキガルを出すために
依頼を受けたはいいけれど、「イシュタルとエレシュキガルを出したい!」以外はまったくのノープラン。とにかくこの二柱が出てくるミステリーを捻り出さねば……と悩んだ末に行き着いたのが、「お互いを犯人だと証明するための推理合戦を繰り広げる」ミステリー。二柱とも仲が悪いからちょうどいい。その喧嘩がいちゃいちゃしているようでたまらん。
被害者には「イシュタルたちと関係があって、かつ、殺されても株が下がらないサーヴァント」、現場検証には「科学捜査ができて、場合によりお笑いも担当できそうなサーヴァント」にしたいと思った結果、あの選択になりました。
推理合戦は、初期の段階では「現場に金色の髪が落ちていた」「凶器が矢だった」など「イシュタルとエレシュキガル、どちらが犯人かわからない手がかり」をいろいろ考えていました。クラス相性はその一つにすぎなかったのですが、ふと「クラス相性一本に絞った方がFGOにしかできないミステリーになるのでは」と閃いてプロットを一旦破棄。再構築して、現状の形になりました。
イシュタルとエレシュキガルにあんなことやこんなことをさせる展開をねじ込んだのは私の趣味です。
各自の持ち味が発揮されたアンソロジー
というわけで、天祢涼は楽しみまくって書いたのですが、ほかの執筆陣はどんな小説を書いたのか。気になって、見本が届くなり早速読みました。
「暗黒犯罪天楼マンハッタン」は、タイトルからしてFGOっぽくて「やられた!」と思っていたのですが、本編にも同じことを感じました。いやー、すごいわ、青崎さん。ほかの作品も、執筆者それぞれの持ち味が出ていておもしろかったです。
自分が参加したから言っているのではなく、楽しいアンソロジーに仕上がったのではないでしょうか。オススメの一冊です。女立香率が高くてびっくりしたけどね。このアンソロジーで男立香の話が読めるのは天祢涼の小説だけ!(笑)
ちなみに、裏表紙側の帯。
単なる偶然なんだけど、この配置だと天祢涼が中心人物みたいでなんかうれしいぞ(笑)。王位争奪戦をやっているときの『キン肉マン』の登場人物紹介欄みたいだし!
『キン肉マン』の意味がわからない人はここから試し読みだ!→キン肉マン 31巻