拝啓 物書堂さま
2018年はegword Universal 2を現在に蘇らせていただき、ありがとうございました。縦書きはできるし、ルビや圏点を振れるし、ぶら下がりにも対応しているし、「日本語で縦書きで小説を書く」のが本当に快感。私にとっては「かわせみ2」とともに、小説を書くのに欠かせないアプリです。後輩の作家さんにもegwordを布教しています。
Scrivener 3で下書き→版元に指定された文字数・行数の版面をegwordでつくる→下書きをegwordにコピペして清書
最近はこの流れで小説を書いています。Scrivener 3もまた、自分にとって欠かせないアプリ。もともとはプロットや登場人物の設定をまとめることだけに使っていましたが、この一年ほどは下書きまでするようになりました。使い方をいろいろ調べて最低限のことはできるようになり、遂には取材までしていただきました。
ただ、Scrivenerはバージョン3から縦書きに対応したとはいえ日本語組版に強いとは決して言えないので、最終的にはegwordがはずせません。
作業工程はこれで安定しているのですが、一方で、「egwordがこうなったらもっと便利なのに」と思うこともあります。
以下、貴社のマンパワーや方針などを大人げなく無視して、私の都合だけで改善してほしい点をあげさせていただきます。中には「できるわけないだろう、大人をからかっちゃいけないよ!」と思うこともあるかもしれませんが、オタクがなんか書いているわということでご笑覧ください。
画面分割モード
私がScrivener 3で下書きをするようになった理由の一つがこれ。画面を分割することで、いま書いている文章を見ながらほかの箇所を参照できる機能です。これがあると、前の方でどういう展開だったか、登場人物がどんな台詞を言ったのかを確認しながら執筆することができます。
特に長編ミステリーで伏線を回収する場面では、「いちいち行ったり来たりしないといけない」という手間が大幅に省けて大変便利です。
Scrivener 3でこのことに気づいた快感といったら!(5月刊行の長編『あの子の殺人計画』はアリバイ崩しの話で様々な場面を参照しなくてはならなかったので、Scrivener 3がなければ書けなかったかもしれません)
egwordでも、ぜひこの快感を味わいたい! ということで、ぜひ画面分割できるようにしてほしいです。
ダークモード
macOS 10.14から搭載されたダークモード。ほかのアプリが続々と対応している中、egwordはそのままです。貴社の「かわせみ2」が対応したときは「いよいよegwordも!」と期待したのですが、残念ながら……という状態が続いています。
ダークモードが本当に目に優しいのか、正直よくわかりません。でも真っ暗な画面に白い文字を打ち込んでいくのは楽しい体験。少なくとも自分にとっては「集中力が増す」環境であることは間違いないです。Scrivener 3もダークモードで使用しています。
macOS 10.14がリリースされたのは2018年。そろそろegwordも対応してほしいと思っています。
iOS版
画面分割とダークモードは、現状では幻に終わっている「物書堂エディタ(仮名。命名者・俺)」に搭載されていた機能です。なので、素人考えでは「やろうと思えばできないことはないのでは」と思っています。
が、「iOS版egwordをつくって」というのは、さすがに無理な願いでしょうか。
自分にとってiPadは、長らく「でかいiPhone」でしかなく、仕事では使っていませんでした。が、iOS12くらいからだいぶ使い勝手がよくなり、相性のいいキーボードを見つけたこともあって、最近は持ち歩く機会が増えました。出先でメールを打ったり、長いメモを書いたりするのにとっても便利。ScrivenerのiOS版を購入してからは、電車の中でも小説を書けるようになりました。
実はこれが、下書きをScrivenerで書くようになった最大の理由。先日、大阪に行った際は、MacBook Proは置いてiPad Proだけを持参。それで充分仕事ができました。
とはいえ、Scrivenerでこなしているのはあくまで下書き。最終的には日本語組版に強いegwordで書きたい。そうなると、「iOS版のegwordがあったらいいのになあ」と夢想する気持ちもわかっていただけると思います。
おそらくアプリの再設計が必要でしょうから現実的には難しいのでしょうが、ぜひiOS版をつくってほしいです。もしかしたら「物書堂エディタ(仮)」をつくりあげた方が早いのかもしれませんが。
最後に、どうしても伝えたいことを
以上、長々と願望と妄想を書き連ねてきましたが、最後に一言。
egword Universal 2はいまのままでも最高です
これまで書いてきたことを卓袱台返ししているようですが、いや、本当に小説を書くのが快感ですよ。Scrivener 3で書いた下書きをコピペするときなんて、自分の中で「いよいよegwordです!」という実況中継が流れるくらいですから(笑)。
もちろん、上記機能を搭載していただければ大変うれしいのですが、それはそれとして素晴らしいアプリを本当にありがとうございます。末長くメンテナンスをしていただければと思います。今後とも、どうぞよろしくお願い致します。
敬具