iOS13.4から、iPadでもライブ変換ができるようになりました。macOSではYosemiteから導入されている、文字を打ち込んでいると自動的に変換してくれる例のアレです。
天祢涼は、これまで何度かライブ変換を使おうと試みてきました。愛用している日本語入力ソフトは物書堂の「かわせみ3」。動作が軽快で、キーカスタマイズが自由自在なので愛用しているのですが、変換精度は決して高いとはいえないし、iOS版はない。ならばmacOS純正の「日本語入力プログラム」に乗り換えた方がよいのでは……。時折、思い出したように、そういう衝動が湧き上がることがあるのです。
iPad版のライブ変換を使っているうちに、久々にこの衝動が復活。お試しで日本語入力プログラム及びライブ変換を使ってみました。
結論から書くと、今回も挫折しました。
ライブ変換が悪いわけでも、使っている人を否定しているわけでもありません(むしろ、使いこなしている人を尊敬している)。ただ、天祢涼の使い方と相性が悪いのです。以下、理由を列記。
一人称が変わるものを書いている
天祢涼は、登場人物によって一人称が変わる小説を書いています。あくまで傾向ですが、主人公は「私」ではなく「わたし」、「僕」ではなく「ぼく」とひらがなで表記することが多いです。それ以外の登場人物は「私」「僕」と漢字。
一人称がひらがなと漢字の人たちが会話するシーンを書くとき、勝手に変換してしまうライブ変換は使いにくい。
あと、「思い」「想い」など作者にしか判断基準がわからない使い分けもありまして、こちらも勝手に変換されてしまうとストレスになります。
ユーザー辞書の編集が弱い
自分が主に書いているのは小説で、作品独自の固有名詞をユーザー辞書に登録することが多々あります。小説が世に出た後で使わなくなった固有名詞は削除することも多いのですが、日本語入力プログラムのユーザー辞書は編集がちょっと不便。
かわせみ3なら辞書内を検索して削除できますが、日本語入力プログラムではこれができない。目視で該当する単語を見つけ出さなくてはいけないのは割と手間です。
これに関しては辞書を書き出しして管理するという方法があるようですが、単語登録するときにちょっと抵抗が。かわせみ3ならショートカットでOKなのですが(ちなみにoption+Nにしてる)、日本語入力プログラムにはショートカットがなく、いちいち環境設定を開かなくてはなりません。これが地味にストレスでした。
学習履歴を同期できない
これはMacを2台使ってないかぎり問題にならないでしょうが。
日本語入力プログラムでは、iCloud経由でユーザー辞書を同期することはできます。が、学習履歴はどうも同期されないっぽいです。せっかくカタカタと文字を打ち込んで自分用にカスタマイズされてきたと思ったら、別のMacでは最初からやり直し……というのはかなしい(^_^;)
ユーザー辞書がiCloudで同期できるのだから、学習履歴もできないことはないと思うのですが。実際、かわせみ3はできているし……なにかやらない方がいい理由でもあるんでしょうか?(知っている人がいるなら教えてください)
かわせみ3が開発中止になったら乗り換え候補にはなる
とまあ、自分の使い方と合わない理由をつらつらと書き上げましたが、まったく使い物にならないかと言えば決してそんなことはありません。ユーザー辞書の編集が弱いのと学習履歴の同期ができないのはライブ変換と関係ありませんしね。
一番最初にあげた「一人称が変わる問題」も、ある程度は文脈で判断してくれている(気がする)し、自動で変換してくれるのはキー入力が少なくなるので、慣れれば高速で打てそうです。
実際いまも、かわせみ3で書いていて行き詰ったときは日本語入力プログラムに切り替え、気分転換がてら執筆することもあります(ペンを持ち替えるような感覚)。
天祢涼はかわせみ3をカスタマイズしまくって馴染んでいるので手放せませんが、仮に開発中止になって、ユーザー辞書の編集が強化されてiCloud経由で学習履歴を同期できるようになれば、日本語入力プログラムは充分乗り換え先の候補になります。今後の発展に期待したい。
おまけ 「ことえり」復活求む!
ところでみんな、「日本語入力プログラム」という名前は気にならないの? 個人的には「ことえり」という名前に戻してほしいのですが。風情があっていいじゃないですか、「言選(ことえ)り」って。
いや、macOSが漢字Talkの時代から使っている人にとっては、ことえりは変換能力が低いバカの代名詞かもしれないけど。そこを含めて好きだったんだ、ことえり(笑)。