1995年、セイコーから「ALBA SPOON」というデジタルウォッチが発売されました。丸みを帯びたデザインが世紀末に未来を感じさせて、かなりのヒット商品になりました。
天祢涼はこいつにがっちり心をつかまれて、お金を貯めて一つゲット。ボロボロになるまで使っていました。当時はG-SHOCK派とSPOON派に分かれていた気がします(ごめん、うろ覚え)。
なにかの拍子に「G-SHOCKはいまも名前を聞くけど、SPOONはどうしたのかな?」とふと思って調べたところ、SPOONはとっくに販売終了になったとのこと。何年か前に復刻版が発売されたそうですが、それもいまはないそうです。
そんなタイミングで、ボロボロになるまで使っていたSPOONを引き出しから発見!
本当にボロボロだな
最後にこの時計を嵌めたのはいつだろう? 小説家になってからは一度も記憶がないから、最低でも11年は使ってない(笑)。当然、電池は切れていて動きません。マニュアルもどっかに行っちゃった。
でも、電池さえ交換すればもしかして動くかも?
そう思って、「動けば儲け物」くらいの気持ちで「SPOON 電池 交換」でGoogle検索。出てきたブログをもとに、電池交換に挑戦……したのが蟻地獄の始まりでした。
- 裏蓋のネジを4本はずさないと電池交換できない仕様だけど、1本ネジ山がつぶれていてドライバーで回せない。
- 仕方なく、ネジを3本はずした状態で裏蓋を回しまくってネジを破壊。強引にはずす。
- ボタン電池を取ろうとしたら、金属片でがっちり挟まれていて取れない。
- ドライバーで金属片をはずそうといじっていたら、中から別の金属片が落ちてくる。見なかったことにして作業続行。
- 金属片がはずれてようやく電池交換。が、今度は金属片を嵌められない。
- ちゃんと嵌らなかったけど裏蓋を押しつけるように閉めたら動いた!……と喜んだのも束の間、時刻を合わせる方法がわからない。
- 検索しまくって時刻合わせのやり方発見……したけど、何度やっても時刻がリセットされるだけ。
- 「デジタルウォッチはボタン電池を取り替えたら、金属製のピンセットを使って通電させてリセットしないといけない」という情報を発見。理屈はよくわからないけど、再び裏蓋をはずす。
- どことどこを通電させたらいいのかわからないので、手当たり次第ピンセットを押しつける。
- リセットできたらしく、時刻合わせに成功\(^◇^)/
夜の10時から軽い気持ちで始めたら、午前1時になってました。ぎゃふん。
ちなみに中を開けたところ。なんか錆びてる……。
ベルトは切れかけてさすがに修復不能だったので、地元の時計屋さんに持っていって相談。SPOONは型番によっては専用ベルトしか使えないようですが、幸い、自分の物は代替品でも可能でした。というわけで、ベルトをいくつか見せてもらってその場で購入。
つけてもらっている間、店主と雑談して「昨日の夜、電池を取り替えたら動いたんですよ」と嬉々として話したら、苦笑して一言。
「このタイプの電池を自分で取り替える人はあんまりいませんよ」
そうだったのか……やけに難易度が高いと思った(^_^;)
店主によると、SPOONは内部の機構がこわれたら予備の部品がメーカーに残っていない可能性が高く、基本的に修理は不可能だそうです。デジタルウォッチ自体、製造費がかかるので、多くのメーカーが既に撤退しているとのこと。自分のSPOONは97年か98年に買ったから、もう20年以上前のもの。せっかく蘇らせたものの、いつこわれるかわかりませんね。
とまあ、紆余曲折を経て奇跡の復活を遂げた我が家のSPOON。が、ここまでやっておいてなんですが、ここ数年の自分は腕時計を嵌める習慣がない(笑)。
でもせかっく蘇らせたんだし、こわれるまで使おうと思います。傷だらけの筐体も、いまとなっては味に見えるのう。