今月発売の『ジャーロ』(光文社)から『フラワーバスケット』の連載を開始しました。第一話は「二月 花あるところ泥棒あり」です。イラストは上杉久代さん。
公民館に勤務する渡会純平は、上司を説得して館内に花を飾り始める。公民館に出入りしている少女「美咲」ら利用者に歓迎されるも、それが思わぬ事件につながり……。
というわけで、花をテーマにした連作短編です。音が見える銀髪探偵やら、おバカな世襲議員探偵やらのミステリとは、また違った作風になっているかと。
以下、内容とは関係のない裏話。
- もともとこの話は、花屋を舞台に、お花屋さんが探偵役を担うミステリとして書いていました。が、企画が実現する前にお店ミステリが一大ブームに。
駆け出しの自分が人気作と同じことをやっても読んでもらえるとは思えん「やはりメフィスト賞作家に求められるのはオリジナリティだろう!」という崇高極まりない信念のもと、花屋探偵の設定は実に潔くボツとし、構成をゼロから練り直しました。その結果誕生したのが本作。悩んだ分だけ、花屋探偵バージョンよりもおもしろくなりました。 - 高屋奈月さんの傑作少女漫画『フルーツバスケット』が好きです。最終話を読んだ時は号泣しました。紫呉に憧れて小説家になりました(ごめん、云いすぎた)。「ああいう物語を書いてみたいなあ」という憧れを抱いていたこともあって、担当氏に送ったプロットではタイトルを『フラワーバスケット(仮)』としました。が、(仮)としていたことをすっかり忘れていて、そのままゲラに。「今さら直すのもなんだし、いいタイトルも浮かばん」というわけで、そのまま発表と相成りました。でも『フラワーバスケット』というタイトル自体は結構気に入っています。
- この話を書くために地元の花屋さんに通って花を頻繁に買った結果、店員さんに顔を覚えてもらいました……いや、だからなんだという話ですが(笑)。